虹の里から

地域の人たちと、「まちづくり」について意見を述べ合う、交流ブログです!

俵津の人口を増やす方法はあるだろうか。  (その2)

 暑中お見舞い申し上げます。連日、猛暑が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか。どうかお体にはじゅうぶん留意して、仕事に励んでいただきたいと思います。

 

 まず、朗報からです! 俵津スマイルの「ボラ小屋開発構想」(「桜保存ならびに環境保全」及び「憩いの場」整備計画2020)が、西予市の第2回「手上げ型交付金」審査会で採択されたとのこと(『広報せいよ』8月号)。喜ばしい限りです。俵津に新しい希望が生まれました。

 かりとりもさくの会の「公民館から幸民館へ~こころのパンツが脱げるまち狩江」事業も採択。「修学旅行の誘致やふるさと納税体験メニューの制作を通じて地域経済の活性化や関係人口の増加、生きがいづくりに取り組む」との概要。まるで前回のわたしのお願いが、早くも聞き届けられたかのような展開にびっくりです!!うーん、修学旅行か。やるねえ。(「幸民館」にも、ポスト公民館と言うか、自治センター化後を見据えた取り組みの意思を感じます)。

 明浜町では他に高山・宮野浦地域づくり協議会の「安心して暮らせる地域づくりのための収益活動整備事業」も採択されています。みんな頑張っているのですね。

 

1、

 「俵津の人口を増やす方法はあるだろうか」、つづきです。

 とうとう見つけました。その方法を書いた本。

 内田樹・藤山浩・宇根豊・平川克美養老孟司の五氏による共著の『「農業を株式会社化する」という無理ーこれからの農業論』(家の光協会、2018。1540円。農協に頼めば取り寄せてくれるはずです)。その中の藤山浩(ふじやま・こう)さんの論考「年に1%ずつで田園回帰はできる」がそれです!

 藤山さんは、『田園回帰1%戦略  地元に人と仕事を取り戻す』(農文協、2015)という大きな主著を書かれているそうですから、この40ページほどの論考はその要約のようなものだと思います。

 藤山さんは1959年生まれ。持続可能な地域社会総合研究所所長。島根県地域再生のトップ・リーダーです。

 わたしはその論考の全部をここに書き写しておきたいくらいですが(そうすれば俵津のわたしたちの話し合いの「テキスト」ができる)、そうもなりませんので、最初の「人口1%取り戻しビジョン」の所だけをかいつまんで紹介します。

 

2、

 藤山さんの「戦略」はこうです。

 「これはつまり、毎年人口の1%、100人につき1人の定住者を増やしていけば人口が安定する、というものです。つまり、その地域の高齢化を止めて、子どもの数も維持できるのです。」

 「地域人口が安定したという基準は、おおむね一世代(30年間)の期間内で、以下の3条件を満たしたときとしました。

A 地域人口が、現在をあまり下回らない程度(1割減未満)で長期に安定的に推移すること。

B 高齢化率が、現在の水準以下で安定的に推移すること。

C 小・中学生数または14歳以下の年少人口が、現在をあまり下回らない程度(1割減未満)で長期に安定的に推移すること。

 この3条件を、各世代でどれだけの定住者が増えれば満たすことができるかという数を割り出します。移住して来る人の世代別の割合は、その地域の置かれている状況に即して決めるとよいのですが、基本的には、①20代前半の若者、②30代前半の夫婦(4歳以下の子を1人同伴)、③60代前半の夫婦という3世代をバランスよく呼び込むつもりでシミュレーションするとよいと思います。これは、この3つの世代が、人が移住を決めるタイミングとして多い、①卒業や就職、②結婚や出産、③退職という節目に連動しているからです。」

※ 

 島根県では、藤山さんを中心とした島根県中山間地域研究センターで開発した人口予測プログラムに基づいて、この戦略を実行しているそうです。

 その基本単位は、昭和の旧村単位、今の小学校区、公民館区にあたります。それを「郷(さと)」と呼び、一つの郷の規模は、平均で504世帯1370人。集落数は14.7集落、高齢化率が38.4%、小学生数は66人となっています。

 これが島根県では227エリアあって、この中にはすでにU・Iターンの受け入れが成功していて全国的にも有名な海士(あま)町や、益田市匹見町、邑南(おおなん)町(ここは2009年から2014年の4年間に、500人ほどの移住者があったそう)など、すでに安定化を達成しているところもあれば、逆に2%くらい入れていかないといけないところもありますが、全体平均で1%ずつ増やしていけば全地区の人口が安定化する、そうです。

 

3、

 何年も前から、ちゃんと考えて、ちゃんと取り組んでいる所が、あるんですね。驚きです。

 残念なことに(ページ数のためでしょうが)、3世代に対する具体的な「働きかけ」については詳細が語られておりませんが、わたしたちの俵津、果たして、これでやっていけるでしょうか?高齢化率が55%もあって、小学生も上記基準より少ない。現状では1%では無理でしょう。2%もどうか。おそらく3%くらいは必要か。俵津では、宇和町などとセットで考えるとか、いろいろなやり方・考え方を模索する必要がありそうです。

 でも、藤山さんたち島根県のやり方は、人口対策を考える基本的な視点・取り組み方を確実に与えてくれると思います。

 

4、

 そこで、スマイルに提案です(というより、やれたらいいなという希望です)。

①藤山さんの「講演会」を開けないでしょうか。

島根県視察、やれないでしょうか。

③『田園回帰1%戦略  地元に人と仕事を取り戻す』(2420円)を読み合う読書会をやれないでしょうか。

➃フォーラム(シンポジウム)をやれないでしょうか。

 

5、

 わたしは、「コロナ」が蔓延しているこの時期、一番身軽に自由に活躍できるのは誰だろうか、ということに思いを馳せます。そして、市議会議員さんたちに思い至ります。市議会議員さんたちなら、政務活動費を使って資料(本)代や出張費・視察費も容易に工面できます。この時期、藤山さんの本を全冊(ネットで調べてみましたら、3万円もあれば買えます。地元の本屋さんを通じて各自買ってください)読破し、「コロナ」が終息したら直ちに、島根詣でをするようにしたら、いかがでしょうか。

 そして、西予市の方針転換(人口対策の方に)を促していただきたいのです。政策の中心に人口対策を据えることで、いかに魅力的な西予市づくりをするかとかをはじめ、すべての問題をつなげて考えることができるようになると、わたしは思います。未来に希望が持てる西予市になるのです。

 

6、

 そして。全国の知事さんたち、全国の市町村長さんたち、全国の地方議員さんたち。今こそ、国に向かって政策転換を訴えていくべき時なのではないでしょうか。国のやることに唯々諾々と従うばかりの時代は終わったのではないでしょうか。曰く「東京一極集中をやめよ。」 曰く「人口を地方に分散せよ。」 曰く「地方分権をせよ」と。

 

                          (2020・8・1)