虹の里から

地域の人たちと、「まちづくり」について意見を述べ合う、交流ブログです!

これは「ジェノサイド」ではないか。

 これはまさしく「ジェノサイド」だ、と思った。パレスチナ自治区・ガザを攻撃するイスラエルの行為に対してだ。第二次世界大戦時、アウシュヴィッツで600万人(その内100万人は子ども)のユダヤ人を殺害したナチスの行為(ホロコースト)とどこが違うというのだろう。ユダヤ人の国(厳密には違うかもしれないが)イスラエルが、かつてのナチス・ドイツと同じことをしている。

 あろうことかイスラエルの国連代表は「ハマスナチスだ」と声高に叫んでいるという。イスラエルにとって「ハマス」は、いや「自由と平等を求めるパレスチナ人はみな、テロリストである」なのだ。

 イスラエルの攻撃は無差別だ。戦闘員(ハマス)も非戦闘員もない。老人や女性・子供もない。病院だろうが何だろうがかまうことはない。イスラエルの司法相は「パレスチナ人の女たちは『その腹の中で蝮(まむし)を育てると言って、女性や子供の殺戮を正当化した』」。子供はまた将来イスラエルに刃向かうハマスの戦闘員になるからともいう。(「」は早大教授・岡真理氏。『世界』1月号)

 さらに恐ろしいのは、ガザ地区を囲う、「天井のない監獄」といわれる由縁の、壁(隔離壁)だ。ナチスの「ガス室」と本質的にどこが違うのか。

 わたしの友が、そのブログ・「私の映画案内」で、このパレスチナ自治区・ガザとヨルダン川西岸で起こっている「悲惨極まりない状況」について論考をあげている。(2023/11/26「獺祭の徒然なるままにNo.9、ハマスは本当にテロリストでナチスなのか?」)。スゴイ文だ。皆さんにもぜひ読んでいただきたい(右のリンクから入って頂きたい)。

 友は、テーマの答えを「ガザにおけるパレスチナ人の状況を考えるとき、はっきりと彼らの行為を非難することができない」と言って、イスラエルの苛烈なパレスチナ支配の状況を列挙している。これが本当に物事を深く考える理性ある者の答えだろう。わたしは深く同感した。わたしはこの文からガザで起こっていることを考えるようになった。

 先に引用した岡真理氏は、「『抵抗暴力』は『対抗暴力』である。対抗暴力には、それを生じせしめるに至る先行する暴力がある。何もないところに突然、降って湧くわけではない。」と言っている。例として、フランスによる百数十年に及ぶアルジェリア支配、日本による朝鮮・台湾支配(集団虐殺)によって起こった反乱をあげて、こう言う。「イスラエルによる七十五年間の止むことのない民族浄化の暴力がなければ、占領がなければ、アパルトヘイトがなければ、ハマースも、「十月七日」もない。」。「ハマス主導によるガザの戦闘員たちによる十月七日の越境奇襲攻撃を、それが生起する歴史的文脈—パレスチナにおける『ユダヤ国家』の建設が、入植者植民地主義による侵略に他ならないという事実—を捨象して『ハマスのテロ』と言ったり、『これはイスラエル自衛戦争だ』と言ったりしてはならない。」「今、ガザで起きていること、それは植民地支配という歴史的暴力からの解放を求める被植民者たちの抵抗と、それを殲滅せんとする植民地国家が、その本性をもはや隠すこともせずに繰り出すむき出しの暴力のあいだの植民地戦争である。」。

 イスラエルのネタニヤフ首相の言動を見ていると、これは正しく的を射ている認識だとわたしは思う。

 「私の映画案内」の友は、イギリスBBCの報道姿勢を教えてくれている。「BBC放送は彼らをテロリストと呼ばない、ましてやナチスなどと表現することもない」「誰かをテロリストと呼ぶことは、どちらかの肩を持つことになる」ということなのだ。「BBCは、ハマス武装蜂起の要因は、今年にはいって過去最高のパレスチナ人の死亡者がヨルダン川西岸で出ていることも重要な一因ではないかと報じている。」。成熟した理性的な大人のいるメディアだと思う。

 日本のメディアの報道とは雲泥の差があるように思う。

 事態の正しい認識がなければ、解決の道も探れない。

 第二次世界大戦後、イスラエル国家の建設と維持を支持し続けてきたアメリカや西欧諸国。日本は中東においては中立的態度を堅持すると言いながら、上川外相は2023年11月3日テルアビブを訪れイスラエルの外相と会談し、ハマスの攻撃は「テロ」であり、「断固非難」するなどと語って、世界中から批判された。

 ガザがこれだけ凄惨で過酷な状況にあるのにG7などの主要国は、即時停戦を働きかけられない。(ウクライナのゼレンスキー大統領が早い時期にイスラエル支持を表明したのには、本当にがっかりした。)

 そんな中で、国連のグテーレス事務総長の発言は、本当に素晴らしい勇気あるものだった。(「ハマスによる攻撃は理由もなく起きたわけではないことを認識することも重要である」「パレスチナの人たちは五十六年間、息苦しい占領下に置かれてきた」)。拒否権を持つ5大国に押しつぶされるような国連運営の中で、よく言えたとわたしは感動を覚えた。(わたしは「拒否権」制度は廃止すべきだと思う。「総会」を国連の最高議決機関にしなくてはいけないと思う。)

 ロシア・ウクライナ戦争でも戦争反対・即時停戦に賛意を示した国が、グローバルサウスと呼ばれる諸国をはじめ過半を示すようになった時代、世界は今回も多くの国が即時停戦を求める意思表示をしている。国際世論は大きく変わり始めている。パックス・アメリカーナアメリカによる平和)が終わった時代。自立を模索する国々が自己主張を恐れることなくする時代になったのだ。日本も「世界世論」をつくることのできる国になって欲しい。

 なんとしても、恒久的な停戦をまずやらなければならない。その上で、パレスチナイスラエルの二国家が共存できる道を探らなくてはならない。今度こそ根本的な解決をしなくてはならない、と思う。

 友のブログに教えられ刺激されて、とりあえずのわたしの思いを記してみた。

                          (2024・2・5)