虹の里から

地域の人たちと、「まちづくり」について意見を述べ合う、交流ブログです!

【話し合い資料】加藤典洋さんの9条案(ああ参院選・続々々々)

 わたしの尊敬する人に加藤典洋さん(1948ー2019)がいます。文芸評論家。早稲田大学名誉教授。戦後史と憲法9条の探究と考察に心血を注いだ人です。

 わたしは次の四冊に接しました。

①『敗戦後論』(講談社、1997年/ちくま学芸文庫、2015年)

②『戦後入門』(ちくま新書、2015年)

③『9条入門』(創元社、2019年)

④『9条の戦後史』(ちくま新書、2021年)

 いずれもとても誠実で真摯で繊細な筆致で、奥深い内容の優れた著作です。

 その加藤さんは、「左折の改憲」(池澤夏樹の言葉)が必要な時代になった、と言って自ら「憲法9条」の改正案を創案しています。④からそれをここに掲載しておきます。みかん山や公民館やうきな等で、俵津のみんなが話し合える材料になったらいいなと思います。

 加藤さんは同書でもちろん自らの9条案の「狙い」や「使用法」(!)を解説していますが、同時に日本が誇る二人の経済学者の面白い説を紹介しています。森嶋通夫さんは、「東アジア共同体創設の際には、沖縄の対日独立を受けたうえで、首府を沖縄に置くことを提案しています。」。都留重人さんは、「日米安保解消策で、(中略)米軍基地の撤去跡地を利用し、「国連本部を沖縄に誘致すること」を提案していました。」と言うのです。わたしはぶっ飛びました!なんと気宇壮大な!何とステキな!体中の細胞が踊り始めましたのを覚えております。偉大な学者というものは、こんなにも自由に闊達に思考できるんですね。

 それでは!

 

       ※           ※          ※

■ 加藤典洋さんの9条条文案

9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 以上の決意を明確にするため、以下のごとく宣言する。日本が保持する陸海空軍その他の戦力は、その一部を後項に定める別組織として分離し、残りの全戦力は、これを国連待機軍として、国連の平和維持活動や、国連憲章第47条による国連の直接指揮下における平和回復運動への参加以外には、発動しない。また国連憲章第7章のめざす体制の完成後、国の交戦権は、これを認めない。

3 前項で分離した軍隊組織を、国土防衛隊に編成し直し、日本の国際的に認められている国境に悪意をもって侵入するものに対する防衛の用にあてる。ただしこの国土防衛隊は、国民の自衛権の発動であることから、治安出動を禁じられる。平時は高度な専門性を備えた災害救助隊として、広く国内外の災害救援にあたるものとする。

4 今後、われわれ日本国民は、どのような様態のものであっても、核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず、使用しない。

5 前4項の目的を達するため、今後、外国の軍事基地、軍隊、施設は、国内のいかなる場所においても許可しない。

 

      ※            ※           ※

 2~3年前本屋で、自民党が2012年に著した「憲法草案」の本を立ち読みしたことがありました。体中から力が抜けて倒れそうになりました。こんな憲法のもとでは生きられない!こんな憲法の国には住めない!と思いました。買わずに本屋を後にしたことでした。

                     (2022・7・7)