虹の里から

地域の人たちと、「まちづくり」について意見を述べ合う、交流ブログです!

「天声人語」に物申す!

 ミカンの収穫に忙しくしています。我が家では早生温州が終わり、中生(なかて)の南柑20号に取り掛かっているところです。毎年生産にかかわるなんらかの事象が発生しますが、今年はカメムシの異常大発生が特筆されるでしょう。夏場から宇和の稲に大発生したものが、稲刈りが終わった後、山を越えて襲来したものでしょうか。とにかくひどいものでした。それでも、なんとか美味しいみかんが出来上がっております。みかんには、ストレス軽減、抗酸化作用、免疫力向上等の機能性成分がたくさん含まれているので、みなさんにはおおいに食べていただきたいものだと思っています。

 歴史的に大きな意味を持っていた「総選挙」が、そう意識されることもなく通常通りに行われてからもう大分過つ様な気がしております。選挙なんかホントにあったの?という感じ。

 でも、細々とは選挙の総括みたいなことがメディアやネットで時々とりあげられています。その中で、わたしが怒りを通りこしてあきれ果てた記事がありました。朝日新聞一面コラム・「天声人語」です(2021・11・13の)。まず、それを読んでいただきましょう。(太字はわたし)。

 

 衆院選おきゅうをすえられたのは、与党ではなく、共闘した野党だったのかもしれない。選挙後に実施された本紙の世論調査を見て、そんなふうに思った。質問は「来年の参院選で野党による候補者の一本化を進めるべきだと思うか」▶「進めるべきだ」の27%に対して「そうは思わない」が51%に達した。先の衆院選を特徴づけた野党共闘への視線が、ここまで冷ややかとは。自民党過半数を大きく超えた理由も「野党に期待できないから」が65%にのぼった▶消費税引き下げなどの政策に現実味が感じられなかったか。安全保障をめぐる立憲民主党共産党との違いが気になったか。立憲は枝野幸男代表がきのう辞任し、代表選が事実上始まった。議席減となった原因、そして出直し策について大いに議論してほしい▶枝野氏が「私の力不足だ」と言うのは敗軍の将の決まり文句だが、実際、「私」すなわち枝野氏に党全体が寄りかかりすぎていたのではないか。政策作りもトップダウンだと指摘されていた▶話は変わるが、プロ野球では低迷する日本ハムの監督に新庄剛志氏が就いた。就任会見での「優勝なんか一切目指しません」という言葉に驚かされた。続けて言うには「一日一日地味な練習を積み重ねて、9月ぐらいになって優勝争いしていたら……」▶日々何をするかが大切なのは政党も同じ。人々の話を聞き、政策を鍛える。地方議員を一人また一人と増やす。与野党伯仲も政権交代も、その先にしかありえない。

 

 ここには、わたしが前回書いたことと真逆なことが書かれている、と思いました。

 わたしは別に朝日新聞がいい新聞だとは思っていませんが、これを読んだ時には本当に情けなくなりました。これが長い間の現場の記者生活を経てこの有名なコラム欄を担当するまでになった者が書くことだろうか。社会の木鐸と言われる新聞人の矜持もなければ、知性の輝きもない。

 具体的に、順次見ていきましょう。

1、今回の選挙は、「おきゅう」を据えるとか据えないとかという程度のそんな次元の選挙だったとでも、いうのでしょうか。この書き出しからし天声人語子のものとは到底思えません。これだけ政権が腐敗し、これだけ経済や社会が停滞し、これだけ格差や貧困が蔓延し・・・という状況の中での政権選択選挙というかこの国の未来を創る選挙なのに、まるで他人事みたいな筆致です。

2、朝日新聞社がしたような「世論調査」、愚にもつかない調査だと思いませんか。そのことの自覚がないようではどうにもなりません。「来年の参院選での野党の一本化」など問うのも愚かなほどの当然事ではないでしょうか。政権交代は民主制にとって不可欠のことだという認識があるならば、それに向かう大きな前進だった今回の選挙をメディアは率先して国民に評価させるような前向きな報道こそすべきなのではないでしょうか。

3、「自民党過半数を大きく超えた理由」は、違います。有権者の半数が投票に行かなかったからです。それを促進した(!)新聞やテレビこそ責任を問われてしかるべきです。そこに頬かむりして「野党に期待できないから」などとは、どこまで卑劣なのでしょう。期待できる野党を、十分に取り上げて報道する、国民と一緒に考える番組やページを増やして「熱狂」(健全な)を作り上げる、それこそメディアの仕事ではありませんか。

4、「政策に現実味が感じられなかったか」、などと言ってはいけません。消費税のことが云々されていますが、デフレの時は増税してはいけないというのはもう現代ではみんなが共有しなければいけない“常識”です。柔軟に税率を上げ下げするのは当たり前のことだと思います。それは、国民への現金給付などよりはるかに実効性のある施策です。それをメディアまでが財務省の言うなりになったような言説をまき散らして、現実味がないなどと決めつけてはなりません。

5、「立憲民主党共産党の違いが気になったか」、などと自公がいうようなことを吹聴してはいけないとおもいます。前回書いたようにやっと今回の選挙で自公政権に対抗できる軸ができたのです。国民がちゃんと選択できる構図が固まったのです。これを推し進める報道なくして、どうして日本は未来へ行けるのでしょうか。少しは、この国の将来というものを真剣に考えていただきたい。

6、枝野氏の評価についてですが、「力不足」などでは決してありません。山本太郎氏のような魅力には欠けますが、よくぞ立憲民主党を立ち上げここまでもってきた、というべきなのではないでしょうか。

7、新庄氏を引き合いに出すのはちょっとなあ、とわたしは首をかしげます。

8、そして最後の御託宣。よくもまあ、こんなことが書けるものだなあ、とあきれます。「与野党伯仲」がなぜ意味があるのか、「政権交代」はなぜ必要なのか。本当に分かっているのでしょうか。メディアの責任は本当に重大ですよ。朝日新聞は投票日の一週間ほど前に、もうすでに自公政権の続行は決定したみたいな大文字の見出しを一面トップに掲げていましたが、ジャーナリストの片隅にもおけないようなこんな小細工をして、国民にとって重大な結果を招き寄せることをなんとも思わないのでしょうか。

 日本のメディアの劣化は本当に目を覆うばかりです。ほんとうにイヤな時代になりました。

                     (2021・11・22)