虹の里から

地域の人たちと、「まちづくり」について意見を述べ合う、交流ブログです!

わたしは「政権交代」を望みます!―総選挙に思う。(シン・二ホンへ!⑦)

家も親もからだも顔も才能も何一つ選ぶことができない私たち。「選べなかった自分」の大変さを背負って生きている。

                            田中美津

 「なんで私の頭の上にだけ石が落ちて来たの?」という思い。誰もが自分では選べ  ないことで苦しむという不条理。が、なぜ私だけがと苦しむのは私だけではない。点を面へと拡げるべく起こした70年代の女性解放運動は、今でいう「#MeToo運動」だったと鍼灸師は語る。『明日は生きてないかもしれない……という自由』から。

     (「折々のことば」鷲田清一 2173、朝日新聞2021・10・14)

あたたかい風とあたたかい家とはたいせつだ

冬は背中からぼくをこごえさせるから/

ぼくは疲れてゐる

がぼくの瞋りは無尽蔵だ

               (吉本隆明「ちひさな群への挨拶」より)

 

1、

 待ちに待った総選挙の時がやってきました!楽しくてわくわくします。「自分(たち)だけよければそれでよい」「今だけよければそれでよい」という考えを持つ人たちがつくった九年間の「あべ政治」を、やっと終わらせることができる、しかも民主的な手続きによってそれができる、秋(とき)がきたからです。

 投票所入場券も届きました。31日の投票日が待ちきれません。市役所へ行って期日前投票するつもりです。熟慮して(?!)投票先も決めました。れいわ新選組日本共産党社民党立憲民主党連合の候補者(小選挙区)と政党(比例区)です。わたしなんかもう、新内閣の組閣までしちゃいました。山本太郎総理大臣、枝野幸男官房長官小沢一郎財務大臣、田村智子厚労大臣、福島瑞穂総務大臣辻元清美農水大臣、経産大臣には民間からホリエモン堀江貴文さん)に来てもらいましょう。幹事長は志位和夫さんです。こんな感じです。いかがでしょうか?!もちろん、閣僚男女同数です。考えるだけで、いやあなんとも楽しいですね。

2、

 9月29日にあった自民党総裁選のことです。

 決戦投票で岸田文雄さんが総裁に選ばれましたが、そのとき都道府県連票47のうち39(83%)が対立候補河野太郎さん(背後に石破茂さんがいる)に行ったことにわたしは衝撃というか「地方の悲痛で切実な思い」を感じました。なんとかしてくれ! というのは、自民党(員)内でさえ、そうなんですね。そして、あべ政権(岸田さんはそれを担う一人でしょう)はもう、地方(票)のことなどしらないといっているのだと、思いました。

 これを機会に、河野さん(石破さん)たちは、河野さんのお父さんの河野洋平さんがしたように自民党を出て新党をつくればいいのにね、とも思いました。すこしは弱ったように見えるあべ一族ですが、まだまだ続きそうです。ちょっと河野さんたちの芽はないんじゃないでしょうか。いっそ、上の野党連合に合流して閣僚の中に入るというのもいいかもしれませんね。

3、

 昨年11月のアメリカ大統領選。アメリカ国民が、トランプにかえてバイデンを選んだ時、わたしは心底うらやましいと思いました。失政(暴政・圧政)があったとき、アメリカ国民は最短4年でそれを修正できる、その復元力に感動しました。日本でもこのように気軽に(!)政権交代ができないものか、とつくづくしみじみ考えました。

4、

 わたしは、今度の総選挙で「政権交代」が起きることを望みますが、それはかなわぬ夢のようです。問題は、小選挙区制下の「投票率」にあります。いろいろな方が言っていることですが、やはりここはわれらの内田樹さんに解説していただきましょう。

(―安倍・菅両氏が、国民からの支持形成に熱心でないのはなぜでしょうか。という編集者の問いに答えて)

内田 有権者の過半の支持を得なくても選挙に勝てることがわかったからです。選挙をしても、国民の約5割は投票しない。だから、全体の3割の支持を受けられれば選挙で圧勝できる。今の選挙制度でしたら、3割のコアな支持層をまとめていれば、議席の6割以上を占有できる。だったら、苦労して国民の過半数の支持を集めるよりも、支持層だけに「いい顔」をして、無党派層や反対者は無視したほうがむしろ政権基盤は盤石になる。そのことをこの九年間に彼らは学習したのです。

(―つまり、、自分を支持してくれる人の歓心を買うことしか念頭になかったと。)

内田 普通、こんな政治が続けば国民は怒りを感じて、選挙で野党に投票して、政権交代を目指すはずですが、日本ではそれが起きなかった。現政権から「いい思い」をさせてもらっている支持層は自己利益を確保するために投票に行くけれども、何を言っても、何をしても、まったく政治に意見が反映されないという無力感に蝕まれた人たちは、投票に意味を感じなくなって、投票さえしなくなった。その結果、投票率が50%を切り、有権者全体の4分の1を超えるくらいの支持を固めれば選挙に圧勝できるという「必勝の方程式」が完成した。

          (共著『自民党 失敗の本質』宝島社新書、2021)

● わたしは、小選挙区制を導入したのなら、たとえば「投票率が80%以下の場合の選挙は無効にする」というような措置が必要なのではないかと考えます。

● ついでに言いますが、「供託金」制度も廃止すべきだと思います。国民の誰もが気軽に立候補できてこそ、民主主義は栄えるとおもいます。社会は活性化すると思います。投票率も上がると思います。「売名などの理由で候補者が乱立するのを防ぐため」などというのはまったくケチな考えだと思います。候補者の乱立するような社会こそ、望ましい社会なのではないでしょうか。

5、

 家とみかん山の往復だけの暮らしをしているわたしでも、選挙戦が盛り上がっていないのを感じます。

 日本は確実に、自民党に代わるもう一つの「国民の政党」をつくる必要があるとおもいます、アメリカのように。戦後野党が政権を取ったのは、片山政権・細川政権民主党政権の4年間ほどです。あとはすべて自民党政権。この間崩落した和歌山の水道橋のようにそれにガタが来ているのは間違いのないことです。そうしない限りこの国の閉ざされた未来の扉は開かない、ように思います。国民目線に立てば、「悪夢のような民主党政権」などと安倍さんに倣って揶揄しているときではありません。いかに政権運営がヘタでも、どうでもこうでも国民が支えて、オルタナティブの「国民の政党」を創り出す必要があります。二期8年(最低でも4年間)、新政権を持たせればこの国は変わります。政・官・財・学・メディア等の癒着の接着剤が剥がれます。緊張感をもたらすことができます。さわやかな風の吹く国が生まれます。

6、

 選挙に行かない「5割の有権者」のことを考えなくてはなりません。その人たちに届く声を持った覚悟ある政治家や政党は、出ないものでしょうか。上から目線で「選挙に行こう!」などといってもどうにもなりません。選挙に行かないことが、現政権に生殺与奪の権利を与えることになる、といっても仕方ありません。この国の闇はとてつもなく深いように思います。

 最近、「親ガチャ」という言葉が盛んに言われているそうです。「硬貨を入れてレバーを回すとカプセル入りの玩具が無作為に出てくる「ガチャガチャ」が語源」で、「どのような親のもとに生まれてくるかによって人生が決まってしまう」というような意味でつかわれているようですが、なんとも悲しいことです。

 朝日新聞の「論壇時評」で林香里さんがこんなことを書いておられます(9月30日)。

 社会学者の土井隆義は、「親ガチャ」について長編の論考を寄せている。土井は、現代の若者たちは出自に不満を漏らしながらも、過半数が「現状を変えようとするより、そのまま受け入れたほうが楽に暮らせる」と考えていることに注目している。「親ガチャで外れた」と嘆きながら、人生の満足度も高いーこの二つが奇妙に同時進行する日本社会について、反旗を翻そうとすることなく状況を淡々と受け入れる諦観が日本社会を覆っていることを憂える。結局、格差拡大や貧困増大が出生の運不運という宿命論へと回収されてしまうことで得をするのは、無為無策でこの状況を招いた政治家をはじめとする権力者や現状から多大な利益を得ている富裕層なのだ。

 ・・・言われることはわかります。でも、どうしたらいいのでしょう???・・・

7、

 私の立場は、いわゆる「支持政党なしの無党派層」です。保守も革新も、右翼も左翼も関係ありません。そういう分類を超える立場というものを探している旅人です。いいものはいい、悪いものは悪い、という是々非々主義が一番近い。強いて言えば、「俵津原理主義」というのはどうでしょう!「それって、俵津にとってどうなの?」ということですべての判断基準にする!それで6割くらいは政党政派やイデオロギーを超えられる?そんな気がしているのですが・・・。

8、

 今度の選挙は戦後76年間で一番重要な選挙になる、とわたしは思います。「投票率」が70%を超えることを切に祈ります。そうなると「政権交代」の可能性が大きく現実味を帯びてきます。

 中国に「易姓革命」という考え方があります。

 中国数千年の歴史のなかで繰り返されてきた王朝交替のこと。王朝にはそれぞれ一家の姓があるから王朝が変われば姓も易(か)わる(易姓)。徳を失って天から見放された前王朝を廃することは、天の命を革(あらた)める行為である(革命)。したがって、このような新王朝を創始する事業は易姓革命とよばれた。revolutionの訳語としての「革命」とは、いちおう別の概念とすべきである。 

 と、「日本大百科全書」にあります。今の日本もまさにそのような時にある、と思いますが今の政権は「禅譲」の意思はありませんよね。選挙によるしかありません。わたしは、政権交代がないのならせめて「与野党伯仲を!」と切におもいます。来年7月の参議院議員選挙で「ねじれ」を創り出せれば、今の日本で望みうる最高点だと思います。「伯仲」や「ねじれ」こそ民主主義を担保するものです。それがこの9年間で分かったことです。

                   (2021・10・21)